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澤村伊智『ししりばの家』

  • 執筆者の写真: ゆずは 鳥乃
    ゆずは 鳥乃
  • 1月7日
  • 読了時間: 2分

※この記事には作品のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。



今回読んだのは『ししりばの家』(角川ホラー文庫)です。


ホラー小説です。はい。

澤村伊智の比嘉姉妹シリーズの四作目です。私は正直に言うと、このシリーズの三作目までは、ホラーだけどあんまり怖くないなと思っていました。比嘉琴子が怪異に対してとんでもなく強くて頼もしいので、怪異を怖がるというより、比嘉琴子が怪異を倒すのを楽しむエンターテインメント小説として私は読んでいました。怖いのが苦手なので、ホラー小説の初心者だった私にとってはとてもありがたかったですし、よほどの怖がりでなければ誰でも楽しめると思います。このシリーズは私のお気に入りです。


なんですが、この『ししりばの家』は読んでいる間ずっとドキドキしていました。怖かったです。

最初は自分と同じように正常だったはずの梓さんがおかしくなって、家の異常がどんどん加速して、おばあちゃんだと信じていた人がおばあちゃんではなくて、勇大が殺されて……。それらすべてを引き起こしている得体の知れない怪物がいて。起こる出来事すべてが悪夢じみていて自分も正常でいられなくなる感覚。

比嘉琴子も前作までと違い、超人のような風格を封印してしまっていて、頼れるものが何もない不安がありました。

その恐怖と不安と緊迫感の中、夜の住宅街の上空を駆け抜ける指笛の音! その音を聞いてどこからでも必ず駆けつけてくれる飼い犬の銀! テンションがぐわっと上がったシーンでした。可愛くてカッコイイ柴犬のおじいちゃんが勇ましく吠えて、あんだけ恐ろしかった化け物を退けることに成功するの、犬との絆が勝利してて最高です。


次巻も買ってあるけど、ホラーは休み休み読みたいので次はホラーじゃない本を読もうと思います。

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