宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー 下』
- ゆずは 鳥乃

- 2024年12月29日
- 読了時間: 2分
※この記事には作品のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。
今回読んだのは宮部みゆきの『ブレイブ・ストーリー 下』(角川文庫)です。
全三巻、読み終えました。
とても面白かったです。読んでよかった。
旅を始めたばかりの頃は危なっかしくて仕方なかったワタルが、大きく成長して無事に旅を終えることができて本当に良かったです。人生には嬉しいこともあれば辛いこともあって、それは避けたり変えたりできるものじゃない。生きている限りそれらの出来事は必ず降りかかってきて、自分はそれをただ受け止めることしかできないんだってことを小学五年生で悟ってしまっているの、成長が過ぎます。亘はこれからも辛いことが起これば悲しんだり怒ったり憎んだりするだろうけど、それでも自分を見失うことなく、そんな自分を受け入れて前に進んでいくことができるだろうって思わせてくれますね。
美鶴はどうなったんでしょう。幻界で光になって、半身となったけど、現世で行方不明になったり死んでしまったりしているわけではなさそう。だとしたら現世の美鶴はあれほどまでに憎んだ現世の運命を何一つ変えられずに終わってしまったのか。
答えは分かりませんが、美鶴も亘には及ばずとも得るものがあったんじゃないかと想像しています。光になる前、ワタルの祈りの言葉に頷くミツルは、それまでワタルが旅の途中で出会ってきたミツルとは違っていました。ミツルもまた旅の最後に、自分の本当の心を見つけることができたんだと思います。亘が母と二人で辛い境遇に立ち向かっていくように、美鶴もまだ若い叔母さんと二人で少しでも良い方向に進んでいけることを願います。皇女ゾフィとのやり取りの中で現世の叔母さんのことを想っていた美鶴なら、現実をただ嘆いて憎んでそれでおしまいにせず、前に進んでいけると信じたいです。
子どもの頃に観た映画は、どんな感じにこの大作をまとめていたんだろう。映画の尺じゃ絶対に足りないだろうからシーンがかなりカットされていそうな気がするし、原作とはけっこう違うストーリーになっているんじゃないだろうか。私は原作だけで十分かなと思っているけど、怖いもの見たさで映画を見直してみるもの面白いかも。いつか映画版を見直して、面白かったら感想を書くかもです!
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